「キュア」と「ケア」

 

がん医療における「キュア(治療)」「ケア(癒やす)」について考えます。

世界保健機関(WHO)は1989年に、がんの初期段階からの緩和ケアの必要性を指摘しています。

現実はどうでしょうか。

 

つい最近まで、医学の世界では、「キュア」をめざして、「手術や抗がん剤、放射線療法などで、がんを徹底的に叩(たた)く」、そして、終末期になって緩和ケアを行うという考えがありました。

 

しかし、医学が進歩し、長寿社会になった今、「キュアよりケアが大切」ということがよくいわれるようになっています。

末期がんなどの場合には、つらい思いをするだけで実際に完治の可能性が低い場合もあるからです。

 

また、末期がんに限らず、がんの病巣を叩くことにだけに医療者の目が向いて、人間のQOL(生活の質)への配慮が二の次になってしまえば、苦しい日々だけが続いてしまいます。

がんと診断された時から、キュアと緩和ケアが同時期に施され、状況に合わせて比重を変えることが必要ではないでしょうか。

緩和ケアは、がん治療ができなくなった終末期にだけ受けるものではありません。医療者も私たち患者や家族も、QOLを改善する必要性を知って、体の痛みや心のつらさを和らげ、快適に暮らせる環境の充実が求められています。

 

がんを治す医療の発展はもちろんですが、患者の「自分の気持ちを分かってほしい」「共感してほしい」というケアの体制の充実が必要です。

 

ビーハピィ・ジャパンでは、がん体験者や家族が、ともに共感し、気持ちを分かち合い、一緒に考えるピアサポーターとして、活動を始めたいと考えています。