「最新がん緩和ケアのこと」を開催

7月30日(土)に、オープンセミナー「最新 がん緩和ケアのこと」を国立がん研究センター中央病院の里見絵理子先生(緩和医療科長)をお迎えして開催しました。

 


終末期の医療ではない!

緩和ケアは、診断早期から治療と並行して行うべき

緩和ケアが専門の里見先生によるオープンセミナーが開かれました。

里見先生によると、緩和ケアという言葉は、世論調査で7割近い人から「知っている」との回答が得られる一方で、いつ、どういう時に行うべきなのか、ほとんどの人に知られていないのが実態ということです。

 

里見先生は、「緩和ケアはがんと診断されたときから提供されるべき医療」だと強調され、終末期の医療だと誤解している医療者や患者がまだまだ多いことに警鐘を鳴らされています。

 

なぜなら、がんになった患者さんは、「身体的苦痛」だけでなく、不安などの「精神的苦痛」、仕事や家庭、経済的な問題で悩む「社会的苦痛」、死への恐怖など「スピリチュアルな苦痛」を抱えているからです。

そこで、診断早期から治療と並行して緩和ケアを行うことで、身体的にも精神的にも、苦痛が少なく過ごすことができます。また、生存期間が延びたという研究結果も報告されています。

 

例えば、体の痛みは、さまざまな解熱鎮痛薬や医療用麻薬を使うことで、痛みを取り除くことができます。ところが、医療用麻薬を使うと「死ぬのが早くなる」「依存や中毒を起こす」といった誤解から、緩和ケアを遅らせている面があると指摘しています。

 

「どうしたら緩和ケアを受けられるのか」については、各都道府県には、がん診療連携拠点病院があり、そこには無料で相談できる「相談支援センター」があります。そして、患者が医療やケアの方針を自律して決定することの大切さを話してくれました。

 

一人でも多くのがん患者さんが、どんな時期でも苦痛がなく、「その人らしく」過ごせるように、「がん患者力」を上げて、力強く一歩一歩前に進めるように、緩和ケアのサポートを受けるよう勧めています。